令和8年4月6日

 講 話「挑戦 ~そして、強く、美しく、しなやかに~」

日本体育大学桜華中学校・高等学校 校長 牛来 峯聡

  短い春休みを終え、こうして皆さんの元気な顔を見ることができ、とてもうれしく思います。

 今日から皆さんは、一つ上の学年へと進みます。新しい教室、新しい仲間、そして新しい自分との出会いが、ここから始まります。

 学年が一つ上がるということは、昨年度までの自分の歩みを土台にして、新しい自分をつくっていくということです。これまでの成功体験は自信に変え、反省すべきことがあれば次への力に変えて、この一年をより充実したものにしてほしいと思います。

 さて、今年度、本校は「挑戦 ~ そして、強く、美しく、しなやかに ~ 」というスローガンを掲げています。この言葉には、皆さんに届けたい大切な思いが込められています。

 まず、「挑戦」についてです。

 「挑戦」と聞くと、大きなことを成し遂げなければならないと思うかもしれません。しかし、決してそうではありません。今まで話したことのない人に「おはよう」と声をかけてみること。苦手な教科の問題にもう一度向き合ってみること。やったことのない部活動の体験に足を運んでみること。途中であきらめず、最後までやり抜こうとすること。そうした日々の積み重ねこそが、「挑戦」です。たとえうまくいかなくても構いません。大切なのは、「やってみた」という事実です。その一歩が、必ず皆さんの力になります。そして、挑戦した自分自身を大切にしてほしいと思います。

 次に、「強く」です。

 強さとは、人に勝つことだけではありません。うまくいかないとき、悔しいとき、思わず涙がこぼれるようなときでも、「もう一回やってみよう」と立ち上がろうとする気持ち。それもまた、本当の強さです。本校の創設以来の校訓にある「健康」と「努力」という言葉も、まさにこの心と体の強さを表しています。強さは一朝一夕に身に付くものではありません。日々の学校生活の中で少しずつ育てていくものです。焦らず、しかし着実に、その力を伸ばしていってください。

 そして、「美しく」です。

 これは外見のことではありません。困っている友達にそっと手を差し伸べること。感謝の気持ちを素直に「ありがとう」と伝えること。約束や時間をきちんと守ること。そうした一つ一つの行動の中にこそ、人としての美しさがあります。先輩たちが大切にしてきた心のこもった挨拶や、丁寧な清掃への取り組みも、その美しさの表れです。目に見えない小さな心配りの積み重ねが、やがて一人一人の品格となって輝きます。皆さんも、その伝統を受け継ぎ、さらに磨いていってください。

 最後に、「しなやかに」です。

 竹は、どんなに強い風が吹いてもしなやかにたわみ、簡単には折れません。それは弱いからではなく、柔軟さがあるからこそ、強い力に耐えることができるのです。これからの時代は、変化が激しく、予想していなかった出来事に出会うこともあるでしょう。そんなときこそ、考え方を柔軟に切り替え、周りの人と力を合わせながら前に進む姿勢が大切です。一人で抱え込まず、信頼できる人に頼りながら、しなやかに、そしてたくましく歩んでいく。その姿勢が、皆さんの未来を切り拓いてくれると、信じています。

 「挑戦 ~ そして、強く、美しく、しなやかに ~ 」

 この言葉を、ぜひ心の片隅に置いてください。壁にぶつかったとき、迷ったとき、この言葉がきっと皆さんの背中をそっと押してくれるはずです。新しい一年が、皆さんにとって挑戦と成長に満ちた、かけがえのない一年となることを願っています。